トン先生のほんねトーク : 2017年05月の記事

日々に新たに 870 やけどの軟膏療法2

今日もとてもいい天気です。

山並みがとても綺麗に見えています。

この時期は歩くのに最適な気候なのですが、先週の日曜日、東京で散歩しすぎて左膝を痛めてしまって、痛くて長距離が歩けません、、(汗)。

普段なら朝夕通勤で合計1時間ほど歩くのですが、今回は流石に痛みが増してしまいます。

こういう時には無理しない方がいいとは思うのですが、なんだか毎日の習慣をこなせなく、無茶悔しいです、、。

それでも、筋トレ、ストレッチは普通にしています。

さて、やけどの軟膏療法です。

まず、なんといってもやけどをしてしまったら、流水やアイスノンで冷やすことが肝心です。

で、冷やしながら病院に行く。

で、まずはやけどの程度にかかわらず、軟膏はリンデロンVG軟膏を使います。

1度熱傷だと2,3日塗れば痛みも無くなり、やけどは治ってしまいます。

2度熱傷の場合は、赤みや痛み、炎症が治まってきたら、リンデロンVGからゲンタシン軟膏に変えます。

2度の場合は、4,5日経つと場所によりSDBなのかDDBなのかがだんだん分かってきます。

で、しばらくそのままゲンタシン軟膏で治療をしますが、少し深い部位にはゲーベンクリームを使う必要がある場合もあります。

3度熱傷でも初期にはリンデロンVG軟膏を使いますが、こちらの場合は早期にゲーベンクリームなどに切り替えることがあります。

ゲーベンクリームは軟膏に比べて組織への浸透性が良いので、DDBや3度には焼けてしまった組織(ESCARといいます)を除去するのに良いのです。

このように、やけどは2,3日に一度は通院してもらって、きちんとやけどの状態(感染、深達度など)を診ながらその時に一番有効な外用薬を塗って治療します。

やけどをしてしばらくするとばい菌感染も起こす可能性があるので、抗生物質の内服も行います。

感染を起こすとやけどが深くなってしまうのですね。

以前経験したことがあるのですが、どこかの病院を受診し、初めからゲーベンクリームを塗られていた患者さんがいました。

ですが、流石にこれは止めて欲しいと思います。

ゲーベンクリームはDDBや3度熱傷に使うものなのです。

きちんとした知識をもって軟膏療法をして欲しいと思っています。

 

日々に新たに 869 やけどの軟膏療法1

今朝はなんだかひんやりしますね、、。

そうだ、バラ公園のバラが綺麗に咲いているらしいです。

これ、おふくろからの情報です。

毎日犬の散歩に行っているらしい(笑)。

やけどもその程度によって症状は様々です。

誤って、手などにお湯をかけて少し赤くなった程度の1度熱傷。

これはひりひりしてとても痛い。

次に、熱湯を誤ってこぼしてしまって手や胸に水ぶくれが出来るような2度熱傷。

やけどしたすぐあとはまだ水ぶくれは少ないのですが、翌日には水疱が増えてくる。

この2度熱傷は厄介です。

というのも、やけどの深達度に差によって痕が残りやすかったりそうでなかったりするのです。

深さによってSDB(浅めのやけど)、DDB(深いやけど)となどと分類されています。

そして、3度熱傷。

これはほぼ痛くありません。

概ね、痛いということはやけどが浅いと考えて良いと思います。

先日話した湯たんぽのやけどはこの3度熱傷が多い。

やけどの範囲や部位によっては皮膚移植(植皮)が必要になります。

そして、4度熱傷。

これはいわゆるまるこげ、、。

皮膚だけでなく、皮下組織、筋肉も焼けてしまっている状態です。

皆さん!怖いでしょう、、、。

やけどの程度により軟膏療法も違ってきます。

明日からはそのあたりを少し解説していきます。

 

 

 

日々に新たに 868 やけど

昨日の夕方はなぜか空気が澄んで、夕焼けが眩しかったです。

黄砂はどこにいったの?って感じでした。

で、今朝もまた雪を頂いた山並みがくっきり!

ほんの先日まで霞がかかった状態だったのですが、今朝は一転してとても綺麗に山々が見えました。

なんだか、綺麗なものを見るととても得した気分です。

そうそう、やけど!

実は、僕が学んだ東京女子医大形成外科には、その頃はWHO(世界保健機構)の日本の唯一の熱傷センターがあったのです。

だから、やけどの治療を随分させられた。

自殺しようと思って灯油をかぶって全身にやけどを負った患者さん。

サウナで倒れて意識を失った、気道熱傷の患者さん。

酔っぱらって湯沸かしをオフにせずお風呂に入り両下肢を4度熱傷してしまった患者さん、などなど。

数え上げたらきりがありません。

当たり前ですが、全身熱傷の患者さんが普通で、治療は皮膚移植手術や全身管理まで含めて本当に色々なことを学ぶことが出来ました。

形成外科というとマイナーな科ではあるのですが、全身やけどの治療をしていたので、IVH(中心静脈栄養)はお手の物、スワンガンツを入れて心肺機能をモニターをしたり、微調整が必要な輸液管理をしたり、気道熱傷には内視鏡を使って肺の状態を診たりと、まさに救急部と同じことをしていました。

今から思うと、体力的にも無茶大変で、本当に病院を離れられず、毎日泊まり込みの日々でしたが、そのおかげでやけどの治療を自信もってできるようになった。

で、今のクリニックでもその時の知識や体験が役に立っています。

全身管理ができるため、クリニックで患者さんが気分が悪くなったりして倒れても慌てず即座に対処できる。

やけどの軟膏治療に対しても豊富な経験があるので、傷の状態を診て軟膏を変えていくことが出来る。

変えることによって、やけどを早く治すことが出来る。

今のクリニックには酷いやけどの患者さんはあまり来院されませんが、やけどをずいぶん治療した経験によって適格な治療ができるようになったことはとても良かったな~~と思っています。

 

 

日々に新たに 867 日焼けもやけど 

家の黒竹のタケノコが日に日に背丈を伸ばしています。

その勢いは凄い~~。

1日で20センチくらいは伸びるのではないでしょうか、、。

今年は裏年だそうですが、家の黒竹は去年と同じくらいの勢いです~~。

時間を作って剪定しないといけません、、、。

この時期から増えてくるのが日焼けです。

海や山に行って、結構酷く日焼けをして肌を真っ赤にしてクリニックを受診する方が増えてきます。

曇りでも日焼けはします。

曇りだからと油断して日焼け止めを塗らなくてもいいやと考えがちですが、これがいけません。

もちろんカンカン照りの日の日焼けは要注意ですが、この時期曇りでも結構日焼けするので油断大敵です。

3月からは紫外線がかなり強くなっているのです。

若い時には多少日焼けしても、肌自体の修復力や回復力が高いので、ダメージは少なくシミになることはほとんどないのですが、ある程度の年齢になると修復力が落ちてくるために日焼けした部分が老化しやすくシミになりやすくなります。

本当に紫外線対策はバッチリして欲しいと思っています。

なにせ、肌の老化の80%は紫外線だと言われていますからね。

あ、あと喫煙も老化を早めます。

お肌のことを考えると煙草は絶対止めて欲しいと思います。

僕も若い時は夏は真っ黒に日焼けしてましたし、また、そういうのが健康的でカッコいいと思われていた時代でした。

で、20歳頃は積極的に日焼けしてましたが、今はそうは行きません。

今は、正しい肌生理学の観点から、小麦色した肌よりも白くきめの細かい肌がよいとされる時代なのです。

今はやはり、白く、若く、美しくなのです。

日々に新たに 866 コテでのやけど

土曜の夕方はまた東京で会合があり、午後の外来をなんとか終わらせて新幹線に飛び乗りました。

金沢を夕方4時前の新幹線に乗れば、7時の会合には間に合うのです。

新幹線が出来て便利になったものだな~~といつも有り難く思っています。

若い女性は髪をカールさせようとして使うのがいわゆるコテですが、これによって顔や首にジュッとやけどして来院されるかたもちらほらいます。

ほとんどは2度熱傷ですが、2度でも浅い方のことが多く(SDB)、多くは痕を残さずに治ることが多いと思います。

しかし、きちんとケアしないとしみになってしまう場合も時々あります。

つまり、やけどの部位はきちんと軟膏をつけてウエットな状態にして創管理を行います。

きちんとケアすれば、1週間ほどでやけどは上皮化し、ピンク色の状態になります。

普通はそのまま消えていくのですが、たまに1か月後に色素沈着を起こしてくる場合もあるので要注意です。

ピンク色が1か月後に茶色くなる。

これはシミを取った場合や顔に擦り傷をした場合と同じ機序でおこるものです。

患部の炎症によりメラニン細胞の活動が活発になりメラニン色素が沈着する。

だから、やけどした部位はきちんと日焼け止めを塗って、日焼けを防止する必要があります。

また、茶色くなりそうならビタミンCの内服も必要です。

これにより、ほとんどは痕を残さずに治せますが、

たまに、後のケアが悪い人がいて、やけどした部位がシミになってしまっているような場合もあります。

コテでやけどした部位がピンク色になったからといってすぐには安心せず、その後も約3か月くらいはきちんとしたケアが必要になります。

若い女性の顔や首のことですから、しっかりケアして欲しいと思っています。