トン先生のコラム  徒然 その5


4 おわら風の盆

 9月1日、スタッフを連れておわら風の盆、本祭に行って来ました。僕は3回目で、行くたびに素晴らしいなと思ってしまいます。胡弓の響きと歌、艶やかな踊り、坂の町並みも風情があって、全国から人を惹きつけてやまないしっとりとした素敵なお祭りです。

 当然、本祭は人、人、人で町は観光客で溢れかえっています。
 八尾の町の人達は、色々準備にご苦労もあり、本当に大変だろうとは思うのですが、皆さん温かく、親切に観光客を迎えて下さいます。

 踊りを観たことのある方はお分かりでしょうが、指先まで真っ直ぐ伸び、凛とした姿が、胡弓の音色と調和して本当に美しい!とただただ観とれてしまいます。男女とも踊り手は若い浴衣姿の高校生達が多いのですが、一人ひとり、踊ることにプライドを持っている様子です。踊れることを本当に心から嬉しく思っている気持ちを感じ取ることが出来ます。
 輪踊りでは、浴衣を着ていない町の人たちも、普通に楽しそうに踊っています。僕もちょっと輪の中に入れてもらって、見よう見まねで踊りましたが、やはりへたっぴです。でも、楽しく、雰囲気は十分堪能できました。

 このように風の盆は楽しいことがいっぱいなのですが、一つ残念なことがあります。八尾の街の人はとても温かく、親切でありがたいのですが、観光客のフラッシュによるカメラ撮影が踊り流しの雰囲気を台無しにしていることです。
 ここぞとばかり、フラッシュをたいてカメラにその踊っている姿を収めようとして、あちらこちらでピカピカ!!カメラに撮るくらいなら、ゆっくり観ていたら良いと思うのですが、ちょっとだけならいいか!という大衆心理によって、お構いなく写真を撮ります。
 踊り手もまぶしく困っている様子で、実際、八尾の踊りを先導する人たちが、"私たちにとってカメラ撮影は光の暴力なのでフラッシュを止めてください"と言っているにもかかわらず、観光客はお構いなしにピカピカ、パシャパシャです。

 最近の日本人の、自分さえ良ければよいという身勝手な行動を目の当たりにして僕もちょっと驚き、落胆してしまいました。観る方にも、見せて頂いているという、人を思いやる気持ちとマナーが大切なのです。とても歯がゆい気持ちになり、大変残念でした。

 八尾の知り合いの人に話を聞いたところ、やはり同じくとても残念がっていました。"せっかく遠いところを観に来てくれたのだから、ゆっくりじっくり観ていってくれたらいいのに"と言っておりました。そしてさらに、こう付け加えました。"1、2日目は観光客を楽しませるために踊るのだけれど、3日目は自分のために踊るんですよ"と。

 やはり、おわら風の盆は、ほの暗いぼんぼりの明かりの中、胡弓の調べと歌い手の声を聞きながら、艶やかな踊りを観るのが一番です。ほの暗さがあるからこそ踊りも映えるのです。次回は観光客が少なくなった3日目に是非行ってみたいものです。(2007.9.9)

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